“威張る男に人はつかない”

少しばかりの金と地位を得ただけで、他者を見下す増長した君たちに伝えたい。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉の真意を、現代の男たちは完全に忘却している。

真に優れた男は、成功すればするほどどこまでも低く、謙虚になるものだ。

なぜならいかなる偉業も、目に見えぬ助けと運命の恩寵によるものだと知っているからだ。

成功を笠に着て他者を見下す傲慢さは、己の内面が空っぽである証拠に過ぎん。

原点を忘れ、威張り散らすだけの権力者など、誰からも軽蔑される張り子の虎だ。

底辺の泥に塗れた下積みの記憶を胸に刻み続け、誰に対しても礼節を尽くせ。

地位や財産で威張るな。

己を誇らず、雑用をも黙々とこなす男の背中にこそ、人は真の敬意を払うのだ。


三島由紀夫