【批判】と【悪口】決定的な違い


世間では「人を批判する」というと、まるで意地の悪い冷酷な人間のように扱われる。
だが、これは甚だしい取り違いです。

その結果どうなったか。

皆たり障りのないぬるま湯のような、褒め言葉ばかりが飛び交う世の中になってしまった。
「批判」と「悪口」を同じ袋に入れて、悪だと決めつけている。
このふたつは似ているようで、天と地ほどに違うのですよ。
悪口というのはね、相手の存在そのものを狙い、地面へ引きずり下ろすことだけが目当てだ。
しかし批判が狙うのは人間ではない。
その人が成した「事柄の急所」です。
しかも批判の根底には、「こうあってほしい」という願いが隠れている。

貶めたいのか、正したいのか。

憎しみなのか、愛なのか。

君は自分が吐く言葉の正体について、考えたことがあるか?
背負うべきは他者への憎悪ではなく自らの覚悟だ。
言葉を刃にするならば、愛なき批判は単なる暴力であり、批判なき賃賛はただの裏切りに過ぎない。
今、君が口にしようとしているその言葉は、果たしてどちらなのだ?


三島由紀夫