受賞は主演の側からやってきた
2025年、第17回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞。萩原の2本の主演作が映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(大九明子監督)の小西徹役と、映画『世界征服やめた』(北村匠海初監督作)の彼方役で評価された。

どちらも、内向的な人物が主人公の話だ。小西は誰にも言えない感情を抱えた青年、彼方は世界に倦んだ会社員。萩原は『美しい彼』以降、画面の中で動かない人物を成立させる芝居の手数を、主演線で続けて積んできた。受賞のかたちは、その手数の延長線上に置かれている。

同年、NHKドラマ『リラの花咲くけものみち』では、山田杏奈単独主演作で鳥好きの北農大生・久保残雪役を演じる。受賞の派手さの隣で、共演の仕事を引き続き請け負う位置にいる。

声と画面の両側に立つ年
2026年、萩原は声と画面の両方に同時に立っている。劇場アニメ『花緑青が明ける日に』で、失踪した父に代わって花火完成を目指す若き花火師・帯刀敬太郎を演じる。古川琴音とともに主演で、アニメ声優初挑戦である。声優の仕事は、子役期から積んできた画面の身体を一度脇に置き、声だけで人物を立てる別種の作業だ。

それと並行して、NHKドラマ『リラの花咲くけものみち2』で続投。フジテレビ系『サバ缶、宇宙へ行く』では北村匠海主演作のJAXAチーム員・奥山亨。10月には話題『RYUJI 竜二』の公開が控えている。

声の仕事、主演、助演という三つの仕事を、ひとつの身体で並走できているのは、9歳から積んできた長い時間に裏打ちされた基礎体力があるからだ。長年積み重ねてきた地層が、ここでもう一度効いている。

次にこの人がどの仕事に呼ばれるのか。地層の厚みのぶん、まだしばらく先まで楽しみがある。


くやちいでちゅね