-国民的女優-

オーディションで、いつもいいところまでいくのに、最終段階で落とされてしまう少女がいました。
その子は極度の人見知りで、人前で自己PRをするのがとにかくヘタだったのです。
そのせいで、本当はすごく魅力的な子なのに、役を逃してきました。
 
そこで、「あなたの一番の魅力は、他の人がバカにしてやらないようなことを、まっすぐまじめにやれること。
だから、いい恥をかこう。
まじめに恥をかけば、それをおもしろいと思ってくれる人が必ずいるはず。」
とアドバイスをしました。

そして、少しずつオーディションに受かるようになってきたころ、
『町おこしでアイドルを目指す女の子の役』のオーディションがやってきたのです。

審査は歌と自己PRでした。
「これは絶対に負けられない、この子にこの役をやってほしい」と思った私は、ひとつの策を練ったのです。

そのオーディション会場は、売れっ子の現役アイドルや今注目の女優のたまごたちであふれていました。
彼女たちはあきらかに、歌やダンスの練習を積んできていました。
とても勝てるわけがありません。