スケジュールのタイトな朝ドラだけに、セリフ覚えは大変だったが、そんな時は祖母・夏役の宮本信子が助け船を出してくれた。
「疲れたわ」
とスタッフに言っては、わざと休憩時間を作ってくれるのだ。
宮本は演技前、台本の再確認をしたい能年の為に、1人になれる部屋を用意するようスタッフに提案してくれた。
メイクルームの近くの着替え用に使われる小部屋がそれに充てられ、後に“お籠り部屋”と呼ばれるようになった。
能年が共演者たちやスタッフに愛されたのには理由がある。彼女は、小泉・宮本・父親役の尾美としのり・大女優の鈴鹿ひろ美を演じた薬師丸ひろ子、
更には劇団出身の渡辺えり・木野花等の出演作に熱心に目を通していたのだ。
過去の作品について目を輝かせながら語る能年の一生懸命さに、共演者たちも惹かれていた。
渡辺は、プライベートで一緒に出かけるほど能年を可愛がった。ある時、一緒に観た映画『レ・ミゼラブル』に感動した2人は、
演劇好きが集う喫茶店に入ると終電まで感想を熱く語り合ったという。