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785 名無しですよ、名無し!(岩手県) (ワッチョイ db97-3+ef [180.2.3.231]) sage 2021/04/13(火) 12:05:52.88 ID:qQ7ju2ly0
「またミスですか、ムリナールさん。今月に入ってから何度目ですか?」
私はもう幾度繰り返したかわからない文句を口にする。
「申し訳ございません!今後はこのようなことがないように……」
目の前の痩身金髪の男は素直に頭を下げ謝罪する。その表情は疲れ切っているように見える。
「……次は無いと言ったはずです。一体どうするつもりですか」
「はい……本当に申し訳ございませんでした……」
弱々しい表情で俯くムリナールを、私は複雑な思いで見つめていた。
ムリナールは仕事でミスばかりをする男。事情を知らない会社の人間はそう思っているだろう。
……もう20年ほど前になるが、ムリナールはかつて無双の騎士だった。
荒々しくも精錬された剣術。煌めく長い金の髪。引き締まった肉体。その誇り高き闘争は見る者を魅了した。ムリナールに憧れて騎士になった人間はたくさんいる。
表舞台から去った彼と仕事が出来ると知った時は嬉しかった。憧れの人だ、当然だ。
しかし、目の前に現れたのはくたびれた柳のように立つ情けない男だった。
「……責任、取ってもらいますよ?」
……なぜですか。ムリナールさん。
私にはわかる。全盛期には及ばずとも貴方は未だ最強クラスの騎士だ。
私はただ一言、「理不尽な仕事ばかり与える『上』に逆らえ」と言って頂ければそれで!
この身を全て貴方に捧げることだって厭わないというのに!
「……はい。もちろんです。なんでも致します」
……そうですか。
そんなにあのマリアが大切なんですか。
貴方自身の誇りよりもずっと。
「では、いつものホテルで待っていますよ。部屋番は後ほど連絡します」
「……わかりました」
私は今日も彼を犯し汚す。
私が誰よりも憧れた『金輝騎士ムリナール』の誇りを捨てた男への、罰として。