ビュティは、『ボボボーボ・ボーボボ』という作品を成立させている最大の功労者と言っても過言ではない。初見の読者は「ツッコミ役の女の子」という印象を持つかもしれない。しかし、それだけで終わらせるのはビュティというキャラクターを過小評価している。
まず、ビュティは作品における読者そのものである。ボーボボが突然「今日からここは幼稚園だ!」と言えば、「何言ってるの!?」と叫ぶ。首領パッチが意味不明な行動を始めれば、「だから何なのそれ!」と怒る。この反応は作中の人物というより、ページを読んでいる読者の心の声そのものだ。もしビュティがいなかったら、『ボーボボ』はただ意味不明なキャラクター同士が延々と騒いでいる漫画になってしまう。しかしビュティが一人いるだけで、「いや、やっぱりおかしいよね」という基準が生まれる。だから読者は安心してハジケ組についていけるのである。
しかし、ビュティの本当の凄さはそこではない。彼女はツッコミながらも、決してボーボボたちを見捨てない。普通の人間なら、一日で逃げ出す。ボーボボ、首領パッチ、天の助、ソフトンという連中と行動すれば、毎日が意味不明の連続である。それでもビュティは最後まで一緒に旅を続ける。つまり彼女は「常識人」でありながら、「ハジケ組を受け入れた常識人」なのである。
これは非常に難しい立場だ。もしビュティがツッコミしかしなければ、物語は前へ進まない。逆にハジケに完全に染まってしまえば、読者の代弁者がいなくなる。ビュティはその絶妙な境界線に立ち続けている。だから彼女はツッコミ役ではなく、ハジケ組と読者をつなぐ橋なんだ。
さらに戦闘面でも重要な役割がある。ビュティはボーボボたちのような規格外の戦闘力を持っているわけではない。それでも彼女が仲間として認められている理由は、「精神的な支柱」だからだ。ボーボボはふざけているように見えて、仲間が傷つけば本気で怒る。首領パッチも普段は暴走しているが、仲間の危機には命懸けで戦う。そしてビュティは、その仲間たちが安心してハジケられる空気を作っている。誰か一人くらい普通の感性を持つ人間がいるからこそ、ボーボボたちは遠慮なく常識を破壊できるのである。