「今すぐ会議室に来るように」ある女性が部長に呼び出されたのは、寒さの厳しい頃だった。
女性が会議室に入るやいなや「なぜ妊娠なんかするんだ!!!チームに迷惑がかかるとは思わないのか!!!」と烈火の如き怒りの罵声を浴びせられた。
女性は突然のことに反論もできず、会議室を出た後に人知れず涙を流した。
その後、女性と部長との関係は悪化。女性は「GMからさまざまなパワーハラスメントを受けるようになった」と語る。
このため女性はこの問題を労働組合に相談する。この頃から精神的な負担も増し、仕事に支障をきたすようになった。

女性によれば、労働組合の委員と何度も面会し、書記から「この件は上層部まで行くような由々しき問題」との見解を得ていたと話した。
そして、自分のみならず妊娠した女性がマタニティハラスメントを受けていると告発した。
この部署では産休から復帰した女性は、ひたすら書類のみをチェックしたり、報告書を確認するだけの部門へ異動させられるのが常だった。

女性は当初、労働組合へ告発した時点でコンプライアンス部門へ話が流れ「部長は処分を受け、社内で自浄作用が働くと考えていた」。
だが、結果は期待どおりではなかった。

入手した音声データによれば、女性は労働組合の委員から次のように告げられていた。
「マタニティハラスメントが行われたという証拠がないため、処分が成立するかというとしない。ただ、本当にそのような発言があったとすればよろしくない。
処分は行わず非公式な注意にとどめるということで、履歴に残らないかたちで対処することになったそうだ」つまり、明確なコンプライアンス違反はないという結論だった。
この判断に女性が「何人ものマタハラ被害者が明らかなのに、部長職だからといって守るんですか」と聞くと、組合は「ううん。そんなことはないですよ」と回答。
それでも女性は「昨今の女性活躍の推進から考えから逆行するものじゃないですか」と疑問を投げ掛けていた。

別の音声データにはその後の人事評価面談の会話も録音されており、女性の勤務態度に問題があるなどを理由に、今後の昇進は期待できないなどを告げる様子が録音されていた。
女性は社内での告発に限界を感じ、厚生労働省、メディアに今回の事案を告発した。
告発に至った動機に、コンプライアンス相談と見せかけた報復システム、会社と癒着した労働組合、そして会社ぐるみのハラスメントが存在することは否定できない。