武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は2日、日刊薬業のインタビューに応じ、経営方針や今後の成長戦略について語った。

―武田薬品を中長期的にどう伸ばしていくお考えですか。

ウェバー社長 武田の長期ビジョンは、グローバルなリーディング製薬企業の一つになることだ。われわれには複数の測定指標がある。
一つは患者にフォーカスし、真に革新的な医薬品を提供する会社として、強い信頼を持ちたい。事業の成功も重要だが、それだけではない。
素晴らしい環境を社員に提供することも大切だ。その明確なビジョンにどう到達するかだろう。

製薬業界で生き残るためには、革新的な新しい製品が必要だ。だからこそ研究開発の大規模な見直しを実行し、将来を保証しようとしている。
日米欧に新興国も含めたグローバルで成長し続けることは、研究開発投資を回収するためにも重要だ。

●22年までに「後期パイプライン充実」

―数値的な経営目標を教えてください。

ウェバー社長 2025年のカンパニービジョンがある。消化器領域では世界1位になりたい。がん領域はトップ10以内になる。もう少し身近な目標もある。
武田の利益は過去数年間で落ちているが、利益率(実質的な売上収益に占める実質的なコアアーニングスの割合)を毎年1〜2%上げたい。

武田は2022年までは十分な勢いがある。それまでに開発後期のパイプラインを充実させなければいけない。既存品に取って代わるものをそろえるということだ。
研究開発の改革を行っているのは、この先も強いパイプラインを生み出せるようにするための布石だ。

―アリアド社を買収した狙いについて教えてください。

ウェバー社長 アリアド社はパイプラインを強化するためだけに買ったのではない。がん領域に強いことと、ブリガチニブというグローバル製品があることだ。
われわれの戦略と合致している。ブリガチニブは将来的に年間10億ドル以上の売り上げをたたき出すと見ている。
武田にはすでに「エンティビオ」や「ニンラーロ」といったブロックバスター候補品があり、そこにブリガチニブも上乗せできる。
ブリガチニブにはユニークな特徴がある。特定の肺がん患者に対して治療ができる。

がんの研究は進歩が著しい。この領域に焦点を当てようとしたら、進歩の先を行く強いチームが必要だ。5年間遅れたら、もう駄目だ。
常に最新の知見を理解できる立場にいることが重要だ。

―今後さらに大型買収を仕掛ける考えはありますか。

ウェバー社長 今回はまれなケースだ。こうした買収は頻繁には起きない。武田は非常に規律立った会社で、重点領域や価格交渉など、多くの要件を満たさなければ買収を仕掛けられない。
武田は今、成長の波に乗っている。だから買収を続ける必要はない。

―アリアド社の買収で借金が膨れました。これをどう返済しますか。

ウェバー社長 われわれは投資適格を維持していく。一定レベルの借金は受け入れられるが、(原則的に)有利子負債EBITDA倍率が3倍を超えてはならないという明確な限界値を社内で設定している。
アリアド社の買収後でも2.6倍で、限界値の範囲内だ。業績を上げ、利益性を高めることで返済していく。