武田薬品の世界10指入り確定、今後は「事業売却」「リストラ」に注目

■1兆円規模の非コア資産売却やリストラは

買収完了へ、残すは事務手続きのみとなり、市場関係者の関心は、新武田薬品の動向に移っている。

武田薬品は買収完了後、最大100億ドル(約1兆1000億円)の非コア資産を売却して財務レバレッジを下げる方針を示しており、両社の一部製品(シャイアーの眼科領域など)や武田薬品の国内不動産が対象とみられる。
他に対象となるかもしれないのが、大衆薬子会社の武田コンシューマーヘルスケア。同社は国内大衆薬売上高2位であり、仮に国内競合他社に売却されれば業界勢力図が大きく塗り替えられそうだ。

人員削減は買収完了後、全従業員の6〜7%実施すると予告されている。公表されている両社の連結従業員は計約5万人のため、3000人余りをリストラする計算だ。
シャイアー本社の管理部門など両社で重複する機能に携わる従業員や、売却事業に付随する従業員が主な対象とみられる。
だが既に2度のリストラが敢行された武田薬品湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川)の研究員たちは「またリストラがあるかもしれない」と、戦々恐々としている。

■孤高の武田薬品は結果で批判を封じるのみ

振り返れば、主に国内同士で業界再編が起こった2000年代に、武田薬品は国内に目を向けず、海外製薬会社の大型買収に着手した。
08年の米ミレニアム(7200億円)、11年のスイス・ナイコメッド(1兆1000億円)、17年の米アリアド(6200億円)と大型買収のステップを踏み、シャイアー買収で遂に世界トップ10入りを果たす。

新武田薬品の売上高は3兆円超、研究開発費は年4000億円超になる見通し。国内2位のアステラス製薬(売上高1兆3000億円、研究開発費2200億円)以下を大きく引き離し、国内製薬業界で別次元の会社となる。

ただ新武田薬品には将来の業績をけん引するような、大型化が期待できる後期開発パイプラインがない。新薬創出には一般的に10〜15年かかるため、14年からトップのウェバー社長CEOの責任ではないにしてもだ。
数年以内に自社創薬でパイプラインが充実してこないようであれば、再び大型買収に走らざるを得ないだろう。

業界内の買収評価は今も二分している。「日本人社員はたまったものじゃないだろうが、リスクをとった大胆な決断」と評価する声がある一方、「研究開発力が伴わないのに、規模だけ大きくなってどうするのか」と懐疑的な声もある。

ただ、国内製薬会社で前人未到のステージに入る武田薬品からすれば、競合他社の声は、所詮犬の遠吠えだ。孤高の武田薬品はグローバル競争で勝ち組となるのか。業界中が注視している。

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