年初から、今年10月1日までの株価の増減率を見ると、武田はマイナス28%と惨憺たる数字となっている。今年1月には6000円台だったのが、今や4500円台の前後を上下しているのがやっと。
だが競合他社は、エーザイが70%、第一三共が57%、アステラス製薬が36%と対照的に好調だ。武田だけがマイナスであるという事実は、疑いようもなく市場の武田の買収に対する悲観論を示していよう。

その背景の一つとして、武田がシャイアーを買収するメリットに関し、時間が経つにつれて危うい観測しか生まれてこないという事実が挙げられる。
例えばよく指摘されることだが、ウェバーは6月の定例株主総会で、「シャイアーの買収によって……収益力と研究開発力の高い製薬企業になる」という点を何度も強調していた。だが、話は突然違い始めた。

その後、ウェバーは『日本工業新聞』のパブリシティ記事のような「和魂洋才 世界のリーダーへ」と題した武田の連載シリーズの16回目「買収で創薬力は高まるか」(18年10月24日付)に登場し、次のように語っている。

「『シャイアーは、それほどリサーチには投資していない』。ウェバーは、シャイアーを買収した狙いの一つは同社の創薬研究者がほしかったからか、と問われてこう回答した。
シャイアーは希少疾患に強いことで知られるものの、開発品や製品は『ほとんどの場合、(他社から)導入したり買ってきたりしたもの』(ウェバー)であり、自社で創薬をする能力が高いわけではないようだ」

■いくら投資しても創薬は鳴かず飛ばず

ならば、どうひいき目に見ても無理筋の買収に向けて、武田がブレーキの効かなくなった暴走車のようになっているのはなぜなのか。

「武田がシャイアー買収で得られる短期的なメリットには、年間30億j(約3000億円)を基準としてきた研究開発費の増加も挙げられる。買収で事業規模が拡大することに伴い、研究開発費は『4000億円以上をかけることができる』(ウェバー)」(同記事)

だが、武田がこれまで「年間30億j」投じようが「創薬」は鳴かず飛ばずで、そのために大型M&Aにまで手を出さざるを得なかったはずだ。
「研究開発費」が1・3倍程度に増えたからといって、何か画期的な「リサーチ」の転換が生じると考えるのは楽観的過ぎよう。

しかも、17年度の武田の医療用医薬品事業の売上収益見込みは1兆7450億円で、シャイアーは1兆6980億円規模なのに、合併後の「研究開発費」が1000億円ほどしか増えないというのは奇妙だ。
それだけ、シャイアーは「リサーチには投資していない」ということなのだろうが、なおのこと「4000億」という額に期待するのは愚かだろう。

何のことはない。仮に買収が正式に実現しても、武田は次の買収に奔走し続けることになるはずだ。これまで拡大してきた、シャイアーの軌跡のように。(敬称略)

http://www.medical-confidential.com/2018/12/03/post-8472/