挑戦する企業/武田薬品工業(8)日本人社員の育成強化

機会確保し世界と伍する

【外国人幹部多く】

「日本人社員は、必ずしも皆がバラ色の未来を享受しているわけではない。だが私は平成元年(1989年)入社で、まだここにいる」。武田薬品工業で人材の評価や報酬の枠組みを決定する小野知彦はこう語る。

大型M&A(合併・買収)を繰り返してきた武田は、連結従業員の約8割を海外勤務者が占める。この比率はアイルランド製薬シャイアーの買収後、さらに高まるとみられる。海外から優秀な人材が次々と流入する状況下では、国内の社員の心が折れるのでは―。
こうした疑問に対して小野は、自身が武田に長くいることを引き合いに日本人へのエールを送る。

とはいえ、社長および社長へのリポートラインを持つ幹部の計14人で構成されるタケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)においても日本人は3人にとどまるのが現状。
「上のポジションは外国人でなければ取れないとなると、長く勤めている人の意欲が大きく下がる」(人材・組織開発を担う赤津恵美子)との懸念を拭い去る意味でも日本人育成は急務だ。

【英語力は必要】

従来武田は、高い潜在力を持つと判断された若手を5年間かけて育成する枠組み「アクセラレーター・プログラム」を展開してきた。ただ、同プログラムの参加者は世界で年間30―40人に限られるため、門戸が狭い。

そこで国内の管理職層が経営的な視点や英語力を強化できることを狙うコース「拓(ヒラク)」を19年1月をめどに始める方針。17年度に開始した、入社10年程度の社員向けの「挑(イドム)」など、既存の教育体系との相乗効果も見込む。
「機会を与え、経験を積んでもらえば、グローバルの人材と伍していける」(赤津)。

社長のクリストフ・ウェバーは「日本人は他国の従業員と比べると機会が多いはず」と話す。理由として日本に研究開発や製造、営業、本社機構といった機能がそろっていることを挙げた。
ただし「例えば私の後任になりたければ、英語が話せないとダメ。(人材の)多様化が進んでいるからだ」。ウェバーには今まで以上に社員の成長を促すための言葉や行動が求められる。(敬称略)

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00491431?isReadConfirmed=true