このシステムは、配管網を通じて冷水を循環させる仕組みになっています。セーヌ川の冷水が送り込まれる管のすぐ隣には、市内の建物から排出された温水が流れる別の管が通っています。両者の間は薄い金属壁で仕切られており、熱交換器を介して、温水が持つ熱が冷水へと移動します。この際、温水と冷水が直接混ざり合うことはありません。これは、熱いお茶が入ったカップを冷水の入ったボウルに浸すのと似た原理です。つまり、液体同士が直接触れ合うことはなくても、お茶の熱は奪われて冷めていくのです。

その冷却された水は、システムに接続された建物内を循環し、セーヌ川の水は以前よりわずかに温度が上がった状態で川に戻されます。

「フレシュール・ド・パリ」の広報担当者であるティム・ギゴン氏は、次のように述べています。「パリにあるすべての建物が同じような冷房需要を持っているわけではありませんし、すべての建物がこのネットワークへの接続に適しているわけでもありません。3,000という数字は……現実的な開発の道筋を反映したものです。私たちの目標は、大規模な業務ビルを中心に据えた従来のネットワークから、都市全体を支えるインフラへと進化させることです。」

こうした取り組みを行っているのはパリだけではありません。ストックホルムでは熱波の際の電力消費を抑えるためにバルト海の海水を利用しており、トロントではオンタリオ湖の水を取り入れる冷却システムが採用されています。専門家によれば、ロンドンのような巨大都市でも同様のシステムは機能し得ますが、単にそのまま「コピー&ペースト」できるわけではないといいます。