>>268つづき
〜旅の自慢話  その16〜  ひきつぎ

「きちんと引き継いでおきましたので、大丈夫です。現地の係員におまかせください。」

この言葉ほどあてにならないものはないと今回思い知らされたのは、
座席が出口から遠いところであったためすでに降りる時から遅れが生じ、
空港までの送迎バスに乗り遅れた以上に、
二台目のバスに乗り込み、足踏みしながらようやく到着して飛んでバスを降り、
その「引き継いだ現地の係員」の顔を見た瞬間でした。

美しいお嬢さんがにこやかに笑い私の首にレイをかけ、そして頬にキスをしてくれ言ったのです。
「ようこそ、北海道へ!!」 ← 誇張あり

私はレイをひきちぎり、地下鉄に向けて走りながら叫びました。
「地下鉄には急いで行けば乗れる。問題はその後や!
ウチは丘珠空港行きのバスに乗ったことがないねん。バス乗り場まで三分しかないと聞いたが、
ほんまに札幌駅をたとえ迷わずに走ったとして三分でいけるん?
万が一乗り遅れたとしてその後はどうしたらええのん?千歳に戻るン?」

お嬢さんはバスの時刻表ではこの時間とこの時間とこの時間がありまして・・
とシドモド話しますので、
「私が聞いた話では、札幌に到着後三分で発車する空港バスに乗り遅れたら釧路行きの最終に乗り遅れるって話やった。
ちゃうんか?ちゃうんやったらこんな慌てんですむんやで?
つか、だいたい札幌から丘珠空港まで何分かかって、その釧路行き最終っていうのは何時発なん?
いや、ええ。そんなこと話してる時間はない。とにかく札幌についたらどっち方面に走ればいいんや、それを教えろっ!
あと、乗り遅れた時はどうしたらええのか言えっ」

お嬢さんは考え違いに気付いたようです。
札幌で私に与えられた時間は三分。その間に空港バスに乗り込まなければ釧路行きの便に間に合わない。
そして今はとにかく、じきに発車する快速エアポートに飛び乗らなければ話にならないのです。
彼女は改札ごしに電話番号をくれ、そしてハンケチをふってくれました。

ホームに立ちあたりをみまわし、エアポートと書かれた電車の最後尾を守る車掌さんに、
「これは札幌にゆきますね?」と確認するとうなづく、乗り込んだすぐ後にドアが閉まりました。
あむない所でした。