老人はなおる見込みのない一種の業病である。まだ、自覚できる脳力の
ある間に、お遍路に出るがよい。老人ぼけしてからでは、その考えも
気力もなくなってしまい、いつまでもめいわくをかけていながら死にた
くないようなことをいうからである。……いちばんよいのは、国外へ
出ること、そして未開民族の仲間に入れてもらうことである。
パスポートをすてて、いくらかの土産と金をもって行けばかんげいし
てくれる。そこで行きだおれになれば、適当に始末してもらえる。
私はこれを望んでいる。