人口が減少し、超高齢化社会に向かう中で、地域におけるコミュニティーの維持は難しくなる一方だ。モノをたくさん持つ必要はもうないし、
沢山の部屋も不要。身軽さを追い求める一方で、彼らが譲れないのが都心での生活なのだ。
実際、都心には生活の要素が十二分に揃っている。コンビニエンスストアは冷蔵庫代わりに使えるし、
図書館もあれば映画館もある。お客さんが来たときには、近くのホテルに泊まってもらうほうが快適だから、自宅に客間は必要ない。
また、ここ数年シェアハウスのような共同生活の新しいスタイルが登場し、働き方においてもコワーキングスペースを利用する人も増加しているから
SOHO(自宅を小規模オフィスとして利用する形態)である必要もないのだ。

思い返せば、2000年ごろに都心部を中心に「狭小住宅ブーム」が起こったが、それ以来、
「都市の諸機能を自分の生活の場としながらコンパクトライフを送る」という流れがずっと続いているように思える。
その一方で、かつて人が密集して暮らしていた郊外の団地エリアは人口が大きく減少しているため、
太陽光発電など創エネルギーの拠点にするというような議論も進んでいる。人が住む場所とエネルギーを
生み出す場所を分けるという発想だ。そのように考えると、かねてから森ビルが都市部で提唱してきた
「バーティカル・ガーデンシティー(立体緑園都市)」の流れに、ようやく時代が追いついたという感も否めない。

「絶対に損をしたくない」という意識が背景に
今の若い人たちは、「買って損をするものを絶対に購入したくない」という意識が根強い。
だからこそ、買ったら値が下がる郊外ではなく、都市に住むという判断をしている。つまり買うなら小さくとも都心で、郊外に住むなら賃貸でもいいということだ。
不景気により会社の社員寮等も激減し、生活経験の乏しい若い人たちはどこで暮らすかという責任を最初から
負うはめになった。彼らは得をしなくても良いけれど、決して損はしたくないと考え、もっとも合理的な選択は何だろうという発想で家を選ぶ。
そして最終的には人や経験ではなく情報に頼る。世に溢れるたくさんの情報をもとに物件を検索し、それを信じて購入し、情報をもとに売却している。
かつては、賃貸の実生活の中からさまざまな経験や教養を積んだところで、それらをもとにマイホームを建てるのが
一般的であった。だが、生活体験が乏しい人々でもいきなり家を買っているのが現代だ。
その結果、そのような人々に向けた商品が巷に溢れることになり、40平方メートル台の2LDKのコンパクトマンションが人気を博しているというわけである。