俺の親父は海軍で駆逐艦乗りだったそうだ。レイテ沖海戦で米軍機の猛攻に遭い、
艦は沈没寸前。艦長の姿が見えないので艦橋に行ったら艦長は「俺は船に残る」と
言って降りようとしない。そして何か形見に残るものを探そうとポケットあたりを
まさぐっていたそうだが何もない。困った艦長はなにやら排水溝のフタのようなもの
を親父に渡して「これを持っていけ」と命令したそうだ。気が動転して自分でも
なにをやってるのかわからなかったようだ。
親父もそんなもの貰ってもどうにもならないので途中で捨てたそうだが、その艦長は
その後どうなったのか教えてくれなかった。