寒風が強く吹き出した中、通用口からホール内に入ったのが午前1時…

1台ごとの出玉入玉がプリントアウトされたデータ表を照合する。割数、つまり出玉率のことだが、123%で羽根モノの釘が甘かった。

1時間かけて350台を叩いて店を出た。喫茶店など空いているはずがない。
自販機のホット缶コーヒーを買い、カイロ代わりにしてしばらく手のひらと指を暖めたあとそれを開け、コーヒーと煙草のひとときを楽しみながら釘調整の仕事の疲れを吐き出した。

1台ずつ、微調整をしながら釘を叩いているうちに、一時期釘師時代にあった自分の若い頃に得た、台の釘調整の勘所が意識しないで出ていた。
『雀百まで踊り忘れず』かと思わず口をついてしまう自分を苦笑う…

っさ、昔なじみのホールの支配人に一応報告を入れとくかと、私はスマホをクラッチバッグから取り出した。久しぶりにぶり返した寒気の中、まだ夜が明けぬ街を愛車のテスタロッサに向かい歩を進めた…