Q:「お金は人生を狂わす」と言いますが、本当に狂う人を見た事がありますか?

A:知人に宝くじで大金を当てた人がいます。

彼とは仕事で年に数回会う程度の間柄ですが、人格に独特なクセがあり周囲の評判が、はなはだ良くない人物でした。

ある時、彼の姿がパタリと見えなりました。

日頃煙たがっている人々も、いざ居なくなると気になるらしく、各所に手を回して情報を収集したらしいのですが、

なんでも宝くじで一億円を当てたのだといいます。

そこでキッパリ仕事を辞めて、隠居生活に入ったらしいのです。 彼の職種は傍目からすると魅力的であり「いくらなんでも辞める事はないのに…」というのがもっぱらの意見でしたが、

本人は相当舞い上がったのでしょう。 未練も何も無く清々した、と語ったそうです。 しばらくは彼の噂でもちきりだった周囲も、やがてその話題は旬を過ぎて聞かれなくなりました。

そして、ちょうど二年が過ぎた頃。

彼は仕事に復帰しました。

本人曰く、一億円を全て使い切ってしまったのだそうです。

特別悲壮感もなく、周りに聞かれる事については淡々と答える感じでしたが、何にお金を費やしたのかというと、

車を買ったり、飲み歩いたり、ギャンブルに注ぎ込んだりと、いかにも月並みな内容であり、内心私はガッカリしたのを覚えています。

わずか二年で一億円は彼の元から消えましたが、身に染みてしまった浪費癖は消える事が無かったそうで、

今では莫大な借金を抱えているのだと言います。

休憩が一緒になった時等、今でもたまに話をする事がありますが、なんとなく以前よりも毒気が薄らいだように感じます。

一億円の儚さを身をもって教えてくれた点については、彼に感謝をしています。