昨日の夕方ですわ。わし、大阪から和歌山へ行く国道沿いの下水管工事現場で旗振ってましたんや。
そのまま進んで、と旗を手刀切るみたいに振って指示したクルマが50mほど行ったところで急停車しよった。
レクサスでんねん。ナンバーもゾロやし。こら、わしの昔の稼業と同じヤツやと思て身構えました。

なんや今流行のツーブロック言うんでっか、そんな髪型した若いのがドライバーでっしゃろ。
ジャージの上下のそいつがが下りてバックシートのドアを開けよった。
ピンと伸ばした両腿に手を当て海老みたいに腰を折っているそいつに「おまえは乗っとけ」と声をかけ
て男がのそっと出てきよった。
わしも現役時代に何着か作ったゼニアらしきダークグレーのスーツに身を包んだ細身で長身の男が近づいて
きよったんです。

「警備員のおっちゃん、仕事中に悪いけど話があんねん。ええか?」と、わしにパーラメントの箱から抜き出た
1本を「吸えや」と言いたげに差し出します。
ええかも何も、パーラメントなんて何年ぶりに見るんやろ、わしは今「わかば」を、それも1本を半分に切って
セコセコ吸うてる有様、思わず手を出して箱から抜き取りましたんや。

「なんでんねん。話て」と煙草をくわえて言ったわしの口元ににすかさずデュポンのライターを近づけて、カチッと音
さして火を点けてくれた男は自分も煙草を口にします。
「おっちゃん、わしの顔に見覚えないか。あんた、昔●●でカシラ補佐やったわな」
いきなりドがつくストレートを放り込んできました。
「い、いや。わし極道なんかとちゃうで」
「そら今の話や。昔のこと言うとんねん。●●のKさんやろ。赤落ちして大刑でバクシャリ食うてたんやろ」
「あほな。わしはずっと堅気の人間や」
「ほー。そうかわかった…と帰ると思たら大間違いや。15年前の鶴橋の雑居ビルの地下…言うたら思い出して
くれるか、あーん?」
「鶴橋て大阪の鶴橋でっか?」
「…そこまで言うか。こら」
わしは思い出したんですわ。この男にわしが何をやったかということを。そのとたん尿道が一挙に膨らみ吐き出
してしもたんですわ。