結論から言うと、「コンプライアンスの関係で合併・吸収合併した会社の社内ブラック(事故情報)は共有しない」というのは誤り(デマ)です。実際には、三井住友銀行や三井住友カードをはじめとする金融機関において、吸収合併や会社統合が行われた場合、過去のトラブルや債務整理などの「社内ブラック情報(社内データ)」は原則としてすべて存続会社に引き継がれ、共有・一元化されます。その理由と仕組みについて、以下の3つのポイントで解説します。

1. 法律上の「包括承継」によりデータも引き継がれる会社法において、吸収合併が行われると、消滅する会社の「すべての権利と義務」が存続会社に丸ごと引き継がれる(包括承継)と定められています。これには顧客の契約情報や入金履歴だけでなく、過去に貸し倒れ(踏み倒し)や自己破産、強制解約などのトラブルを起こした顧客の「ネガティブデータ(社内ブラック情報)」も含まれます。

2. コンプライアンスの観点からは「むしろ共有が必須」「コンプライアンス(法令遵守)や個人情報保護の観点から共有しない」という噂がありますが、現実は真逆です。金融機関のコンプライアンスにおいて最も重要視されるのは、反社会的勢力との取引排除や、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止、および再び焦げ付くリスクのある人への融資(過剰融資)の防止です。リスクのある顧客情報をわざわざ破棄して共有しないことは、金融庁の監督指針や内部統制の観点からも絶対にあり得ません。

3. 個人情報保護法上の手続きもクリアされる合併によって他社の個人情報を引き継ぐ際、個人情報保護法上も「合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合」は、第三者提供の制限(本人の同意が必要というルール)の例外として認められています。そのため、法律を理由にブラック情報が消えることはありません。