不動産マーケット情報:人口動態の最新資料が示す、今後の住宅ニーズとは
http://smtrc.jp/useful/knowledge/market/2012_05.html

人口動態の最新資料が示す、今後の住宅ニーズとは(2012年5月)

先日、新聞各紙で日本の総人口の減少が報じられました。1億2779万人と昨年から25万9千人(0.2%)の減少です。

今日の日本は住宅の総数が既に世帯数を上回っている「家あまり」の状態ですが、人口は一律に減少しているわけではなく、
都市部では依然としてマンションや戸建が1億円を超えることも珍しくない反面、地方圏では過疎化の進行で
限界集落が発生する状況です。

つまり人口動態によってマンション・住宅に対するニーズは地域ごとに大きく異なるのです。

少子化で子どもの数は減少していますが、人口の流出入を都道府県別に見ると、依然として若者世代や
住宅購入世代が多く流入している地域もあります。
今回は、これまでとやや趣向を変えて、特定の地域にどの世代がどの程度流入しているのかを分析し、
今後の住宅需要について予測してみます。


総務省が毎年公表する「住民基本台帳 全国人口要覧」には、都道府県および行政区単位で5歳ごとの人口が記載されています。
これを最新版の2011年と2006年で都道府県ごとに比較したのが下の一覧表です。これは何を示しているかというと、
2006年に20〜24歳だった人は2011年には必ず25〜29歳になっていますから、ある県の2006年の20〜24歳の人口が
仮に1万人であったとして、流入も流出もなければ5年後の2011年には25〜29歳の人口が1万人となっているはずです。
これを基に算出したのが一覧表の人口の年代別・地域別増減率(以下、増減率)です。
増減率に変化がなければ0%、人口が減少していればマイナス、増加していればプラスとなります。


1.人口は全国的にみると20歳代の移動が激しい
人口の増減率が5%以上(5%以上の流入が認められる)地域および年代を青で示し、
−5%以上(5%以上の流出が認められる)は赤で示しています。

これらの動きをみると、20〜24歳と25〜29歳の年代で人の移動が著しいことがわかります。
2006年当時15〜19歳もしくは20〜24歳の年齢だった人の多くが5年の間に居住地を移転しているということです。

この年代は進学や就職期に該当しますが、特に20〜24歳の増減率は極めて大きくなっていて、東京都では35%もの流入が
認められます。神奈川県でも15%、千葉県は8%、埼玉県は6%と、首都圏への流入が目立ちます。
また、愛知県が8%、京都府が7%、大阪府が9%と、三大都市圏の中心部には多数の流入が見られます。

反対に20%を超える大きな流出となっているのは青森県、岩手県、秋田県、島根県、長崎県、宮崎県、鹿児島県で、
東北と九州に集中しています。また三大都市圏以外は、全国の大半の地域で5%以上の流出となっています。

次の25〜29歳では就職だけでなく転勤・結婚などに伴う移転と考えられますが、この年代が多く流入している地域は、
東京都、神奈川県、愛知県の3都県しかありません。京都府では20〜24歳の増減率が7%と多数流入しているのですが、
25〜29歳の増減率は−7%と、流入してきた分だけ流出しています。
つまり就学によって流入した人口のほとんど全てが就職時に流出してしまうのです。

静岡県では20〜24歳の増減率が−6%ですが、反対に25〜29歳では+1%と僅かに流入に転じていることがわかります。
愛知県は20〜24歳の増減率が+8%、25〜29歳でも+6%と流入が継続しています。
つまり就学によって流入した後も就職によってさらに若年層の新たな人口増加が発生しているのです。

これらの年代は転居に伴って賃貸住宅、寮や社宅に住む場合がほとんどであると考えられます。
したがって青で示した年代および地域は旺盛な賃貸需要があると考えられますが、将来の定住も期待されますから、
潜在的な住宅購買層、エントリーユーザーと考えることもできるでしょう。