トヨタは電気自動車技術で本当に出遅れたのか?
国沢光宏 | 自動車評論家 8/29(火) 12:59
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunisawamitsuhiro/20170829-00075087/

 最近「トヨタは電気自動車化で完全に出遅れた」と言い切る一般メディアが増えてきた。
むしろトヨタ叩きをすると注目されるんだろう。多くのメディアで手を替え品を替えトヨタ叩
き(飛び火でホンダ叩きも)をしている。果たしてトヨタは出遅れたのだろうか?

 以下、客観的な内容を。電気自動車に必要な技術は大きく分けて、

1)モーター。
2)直流を交流に変換するインバーター。
3)走行エネルギーを電気に変えてリサイクルする回生ブレーキ。
4)電池

 の4つ。このうち、トヨタは電池を除き圧倒的な世界一である。

 まずモーター。プリウスに搭載されているモーターは60kW級(82馬力)。カムリHV用で
100kW級(136馬力)。両方とも電気自動車用としてそのまま使える大きなパワーを持つ。
しかも大量生産しているため驚くほど低コスト。信頼性だって抜群に高い。

 インバーター技術も間違いなく世界一だ。カムリのハイブリッド用インバーターなら、一部
を使うだけでそのままリーフ級の電気自動車用として使える。これまた高い効率を実現し
ているだけでなく、性能を考えたら驚くほどリーズナブル。競争力という点でライバルを圧倒
するだろう。

 決定的なのが回生ブレーキ技術。テスラも日産もアクセル戻すと強い回生を掛けている。
電車の走り方をみれば解る通り、本来ならアクセル戻したら空走。ブレーキ踏んで回生が
効率良い。ただブレーキペダル踏むと、従来の油圧ブレーキと回生の配分しなければならない。

 この技術が超難関なのだ。トヨタのように「ブレーキペダルは単なるスイッチ。弱く踏むと全
て回生。強く踏むと回生+油圧」という制御を行えるメーカーは、今のところ存在しない。電気
自動車の航続距離を増やそうとすれば空走させ、ブレーキ時のみ回生をきっちり取らないとダメ。

 トヨタにとって唯一の弱点は電池である。パナソニックと組んだものの、思ったようにならず。
今は独自開発をすすめている。同時に中古車の電池をどうやったら有効活用出来るか考えな
いと、性能落ちた電池はスマートフォンと同じくゴミになってしまう。

 日産を見ても解る通り、初期型リーフを買った人の下取り値は今や10万円。日産自身「ゴミと
同じ価値です」と言ってるようなもの。同じ価格のミニバンなら110万円の査定が付く。容量落ち
た電池を下取りし、適度な価格で交換出来るようなプログラムがないとユーザーの不利益になる。

 日産や三菱自動車、テスラのように「売ったらそのまんま」というビジネススタイルもトヨタこそ
電気自動車を敬遠する大きな要因。クルマに乗らない記者が多い一般メディアはユーザーの
気持ちになれないのだろう。