>>755 続き
1分の改善が生み出す価値
作業そのものの改善の他に「工程間のモノの流れ」の改善というのもある。

工程3「袖の溶着」が完了したら、防護ガウンとしては完成である。しかし、そのままでは出荷できないので、
工程4で“たたんで、梱包”する。

従来、工程3では袖の溶着が終わると、横に置いてある箱に、クシャクシャのまま、落とすように入れていっていた。

その箱を運び、工程4の作業者は、シワの寄った製品を「取り出して→広げて→前後表裏を確認して→シワを伸ばして→畳んで→箱詰めする」
という作業をする。

こうやって書き出すと「なんで箱に入れる必要があるんだっけ?」
「クシャクシャに入れたら、わざわざシワを伸ばさないといけない」と簡単に気がつく。
こういうところの “ムダ”に改善が入る。

このように“改善”とは“聞いてしまえば、とてもシンプル”なものである。
「シワを伸ばさないといけないなら、はじめからクシャクシャにしなければいい」
ただ、それだけと言われれば、“ただ、それだけ”である。

この改善のために持ち込まれたのは市販のハンガーラックだった。

工程3でクシャクシャにせずハンガーラックに掛けていく。ハンガーラックは、
そのまま次の工程までコロコロと運ばれていく。

これならシワは寄らない。前後も、表裏も、わざわざ確認しなくていい。これで作業時間は“1分”短縮された。

1分と言われると、その効果はわずかに感じる。しかし船橋が、納入先である政府に話した生産量目標は40万着/月であった。

1分の短縮はトータルで40万分の短縮になる。これは6666時間であり、277日である。1分の積み重ねが“1日でも早く、
1枚でも多く”の実現に繋がっていくのである。