>例として、福井県三国町方言のアクセントは次のようである。(引用者注:原文は●や○などで表記しているがここでは高低で表記する)
>2拍語には高低型と低高型とがあり、次のような語彙が所属する。
>高低型 「秋」「雨」…「海」「空」…「牛」「風」…「木が」「手が」…「蚊が」「血が」…「書く」「切る」…「行く」「置く」…「よい」「ない」。
>他の語がつけば、これらはアキガ(高高低)・アメガ(高高低)…のようになる。
>低高型 「足」「山」…「紙」「川」…「葉が」「日が」…。他の語がつけば、これらはアシガ(低高高)、ヤマガ(低高高)のようになる。
>3拍語には高高低型と低高高型とがあり、次のような語彙が所属する。
>高高低型 「兜」「野原」…「兎」「雀」…「頭」「女」…「桜」「魚」…「上る」「当たる」「…「明ける」「負ける」…「赤い」「堅い」…。
>他の語がつけば、これらはカブトガ(高高低低)型になる。
>低高高型 「命」「涙」…「余る」「動く」…「晴れる」「掛ける」…「白い」「高い」…。
>他の語がつけば、これらはイノチガ(低高高高)型になる。
>こんなふうで、およそ近畿色が乏しく、むしろ関東色が濃いくらいであるが、「歯が」はハガ(低高)で「葉が」「日が」と同型であり、
>「居る」は他の動詞から孤立してオル(低高)型、「歩く」「隠す」「這入る」は「余る」「動く」から離れたアルク(高高低)型であり、
>近畿アクセントから派生した形跡がはっきりしている。思うに近畿アクセントから
>高高型↘
>低高型=低高型→低低型→高低型
>低降型↗
>高低型→低高'型→低高型
>などのように変化してできたものであろう。
>これに対して、山梨県南巨摩郡奈良田方言、埼玉県北埼玉郡加須方言、
>静岡県浜名郡舞阪方言などは、幾つかの語彙群のアクセントが近畿のものとそっくりであるが、
>上の九つの基準に照らす時、すべての点で近畿と一致せず、乙種アクセントから変化したものであることを
>物語っている。問題の隠岐方言も、この点では奈良田方言と同様で、上の(1)-(9)の基準で、
>すべての点で近畿と一致せず、中国と一致する。これは、隠岐の方言が近畿系ではなく、
>変わり果ててこそいるが、中国方言から変化してできたものと疑わせるのに十分である。