木魚をMIDIで制御――

生前から「伝統とテクノロジーの融合」にこだわっていた彼らしい演出だった

読経が始まるとに、祭壇脇の木魚が正確なビートを刻み始め、
徐々に力強いグルーヴが生みだしていく

焼香の煙までもがドライアイスの発生装置のように正確なタイミングで拡散していく
遺影のまわりに配置されたLEDもMIDIシーケンサーで制御だ

読経の声はやがてAuto-tuneがかかりはじめいよいよ幻想的な響きとなり、
故人の魂と宇宙に「境目」がなくなったことを告げた

「Remember his gold ROLEX... it was a fake.」

その文字が浮かび上がると、参列者はみな、静かに目を濡らしていたのであった