平野弦

私が入学した国際海洋高校は全寮制で、音楽科はおろか、音楽の授業すらなかった。私たちが第一期生と言うことで、学校運営も授業内容も、諸々手探り且つ見切り発車的な感があった。それでも音楽室はあり、ピアノもあった。この音楽室は事実上私だけのものとなり、放課後や夜間にここで練習をした。

当時校長だった井脇ノブ子氏(元衆議院議員)は、とてつもなく個性的且つ豪気な女性で、「ピアノを勉強するなら芸大に行け!」と(恐らく余りよく考えずに)檄を飛ばし、やがて本当に芸大の講師に月一回のレッスンを受ける手筈を整えて下さった。そして、一浪はしたものの、東京芸術大学ピアノ科に入学することができた。