管理態勢の改善の芽は、10年の時点で摘み取られてしまったのだ。同センターに意見を出していたのは、医師だけではない。
遺族も真相究明を求めていた。県は1日、08年11月13日に腹腔鏡で胃を全摘出する手術を受けた58歳の男性が、09年4月2日に
亡くなっていたことを発表した。同センターでは、医療事故によって入院日数が増えたときは「医療事故緊急対策会議」が開催される。
ところが、この患者は手術から4カ月半後に死亡しているのに会議は開かれていない。「手術に問題はなかった」という認識だからだ。
だが、実情は違う。本誌が入手した内部資料によると、患者は手術翌日に縫合不全で再手術をした。それが、持病もないのに手術中に
心停止して意識不明の植物状態となり、そのまま回復しなかった、と記されている。
また、執刀医はこの術式の経験が過去に1例しかなかった上、再手術で麻酔を担当したのは、なんと研修中の歯科医師だった。
遺族はその事実も知らされていなかった。
疑問を感じた遺族は11年9月、外部有識者を含めた事故調査委員会の設置を求める申入書を同センターに提出する。
だが、対する同センターは、「御遺族の方々に十分な説明・対応をさせていただいたものと判断しております」と回答。
事故調査委員会の設置を拒否した。
繰り返し指摘されていたずさんな管理態勢は、なぜ、改善に向かわなかったのか。本誌が県病院局にこの件について尋ねると、
「(5月中に設置の)検証委員会における検証の対象とすることとしております」との回答を寄せた。
前出の志村医師は言う。
「調査では、死亡にいたらなかった再手術の数も公表すべきです。手術に問題がなかったのか、開腹手術と比較した場合
の安全性なども明らかにしてほしい」

※週刊朝日 2014年5月23日号
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140514-00000002-sasahi-soci