>>616から転載↓

一方の日本では、オピオイドは医療用麻薬の扱いとなるため、その使用や管理は法令により厳格に規定されている。

そのため依存症などの問題はほとんど起こっていないが、精神科などで処方されるベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬(以下、ベンゾ系薬剤)は、その依存症に苦しむ人が多く、問題は深刻だ。

 ベンゾ系薬剤は「切れ味のよさ(即効性)」が特徴といわれ、不安・緊張の緩和、睡眠導入効果の高さから、精神科を中心に一般科でも数多く処方されてきた。

日本での代表的な薬はデパスやハルシオンなどだ。このベンゾ系薬剤には、ふらつき、転倒、記憶障害、せん妄などの副作用があり、保険適応の処方量・用法でも依存症になる「常用量依存」のリスクも指摘されている。

常用者が急に服用を止めると、不眠、動悸、不安感などの強い離脱症状も出ることがあるため、減薬も難しい。大手メディアでの報道はまだ少ないものの、国家賠償請求の集団訴訟を目指す団体も近年は立ち上がっている。

 なぜ日本では、そのベンゾ系薬剤の被害が深刻化してしまったのか。読売新聞医療部に在籍中の10年以上前から精神医療の問題を追い続け、『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』(講談社)などの著書も発表してきた医療ジャーナリストの佐藤光展氏は次のように語る。

「ベンゾ系薬剤の常用量依存については、すでに1980年代の欧米で指摘がされていましたが、日本では致死性の低さだけを理由に、『多くの量を服用しても死の危険性が低い=安全な薬』というおかしな神話が生まれていました。

そして内閣府が10年から自殺対策の一環として展開した『睡眠キャンペーン』も、その誤解を後押ししています。

その公式サイト上では、ベンゾ系薬剤を市販の睡眠薬と比較したうえで、日本睡眠学会の医師が実名で『耐性や依存性が出現しにくいなど副作用が少なく、より安全な薬です』と解説。常用量依存についても否定していました」(佐藤氏)