摘便専門医のネタを題材に演習問題化

ある病院では年間1,000件の手術を行っている。手術時に使用する手袋について、全例で滅菌手袋を使用する方針と、全例で非滅菌手袋を使用する方針のどちらが病院の年間総支出を小さくするかを検討する。
Brewer JD, Gonzalez AB, Baum CL, et al. “Comparison of Sterile vs Nonsterile Gloves in Cutaneous Surgery and Common Outpatient Dental Procedures: A Systematic Review and Meta-analysis.” JAMA Dermatology. 2016;152(9):1008–1014. doi:10.1001/jamadermatol.2016.1965 によれば、術後感染は滅菌手袋群6,040例中121例(2.0%)、非滅菌手袋群5,031例中107例(2.1%)に認められた。
滅菌手袋および非滅菌手袋を使用した場合の真の感染確率を、それぞれ Pst、Pns とする。Pst、Pns にはそれぞれ独立な一様事前分布 Beta(1,1) を仮定する。
手術1件あたりの滅菌手袋の費用を Cst=1,000円、非滅菌手袋の費用を Cns=200円とする。また、術後感染が1件発生した場合に病院が負担する損失を L=1,000,000円とする。
Brewerらのデータを用いて Pst および Pns の事後分布を求めよ。さらに、年間1,000件の手術について、感染確率の事後不確実性と実際に発生する感染件数の不確実性の両方を考慮し、滅菌手袋を採用した場合と非滅菌手袋を採用した場合の年間総支出の確率分布を求めよ。
そのうえで、滅菌手袋を採用した場合の年間総支出が非滅菌手袋を採用した場合より小さくなる確率、および非滅菌手袋を採用した場合の年間総支出が滅菌手袋を採用した場合より小さくなる確率を求め、病院の年間総支出を最小化する観点から両方針を比較せよ。