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小熊英二(歴史社会学者・慶応大教授) 「誤解」を解く/「枢軸国日本」と一線を B

これは「靖国問題」でも同様だ。
刑死したA級戦犯を合祀した靖国神社宮司の松平永芳氏は
「現行憲法の否定はわれわれの願うところだが、その前には極東軍事裁判がある。
この根源をたたいてしまおうという意図のもとに、”A級戦犯”一四柱を新たに祭り神とした」
と述べている(西法太郎「『A級戦犯靖国合祀』松平永芳の孤独」新潮45 8月号)。
この意図を認めるなら、東京裁判もサンフランシスコ講和条約も否定することになり、
ひいては日米安保条約を含む戦後の諸条約や国際秩序の前提を否定することになる。
こうした施設を参拝しながら、「日米は価値観を同じくする同盟国」などと唱えてみても、相手方の信頼は得られまい。

靖国神社については、戦死者を追悼した施設はどこの国にもあるという意見がある。
前述のように、諸外国の「従軍慰安婦」認識には誤解があるという意見は多い。
だが、そうした意見が部分的には正当だったとしても、それが「枢軸国日本」の名誉回復と結びついていたら、
受け入れられる可能性は皆無であることを知るべきだ。

  (続く)