6月7日(水)朝日新聞東京版朝刊社会面・問う「共謀罪」学問の世界から

三浦瑠麗(国際政治学者)   安全との両立、議論足りない

テロ対策のため国際組織犯罪防止条約に入ることには賛成です。
国内的な根拠法も不要とは思わない。
ただ、現在の組織的犯罪処罰法改正案は刑法体系を根底から変える。
対象となる277の罪が、準備段階で罰するほど重大か検討が足りていません。

テロとは「国家や社会に対する罪」です。
国際社会から見ると、日本はテロへの危機意識が薄い。
イスラエルではホテルに入る車を金属探知機で調べるのが当たり前。
日本でも不特定多数の人が集まる「ソフトターゲット」を守るには
警備能力の向上が欠かせない。
でも、それは法案とは関係ありません。

政府は一般人の自由は侵害しないといい、その説明を真に受けている人が多い。
結果として「安全」と「自由」は時に対立するものという本質的議論が
深まっていません。
安全と自由を両立させるためには「組織的犯罪」の定義を明確にし、
罰する対象をはっきりさせる必要があります。

  (続く)