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(続き)

水島広子さん(精神科医、元衆院議員)   「異論=脅威」自己愛の形

安倍さんの国会での答弁、ヤジ、イライラとした表情を見ていると、自分とは異なる
意見を言われ、それを自分への脅威とみなして反撃しているように見えます。人間は、
「攻撃を受けた」と感じなければ、他人を攻撃するようにはできていないからです。

政治家は自己愛が強いと言われます。「自分は特別な存在」という性格そのものは、
私は全否定しません。人を酔わせる演説も、自己愛が強くなければできませんから。
自己愛は多くの政治家にとって不可欠なエネルギー源です。

しかしもう一つ、まっとうな政治家に欠かせない条件があります。それは、他者への
共感力です。他者とは、自分とは異なる意見を持つ人たちも含みます。

ひと昔前の自民党政治家には、自己愛と共感力を車の両輪のように併せ持つ人が少なく
なかったように思います。「ためのある」政治家と言っていいかもしれません。

たとえば田中角栄さんは、地方に道路をどんどん造ってしまう一方、恵まれない人への
人情や涙もろいところもあった。森喜朗さんだって、国会答弁などで野党議員だった
私への気遣いを感じたことがあります。力をもつ与党政治家は、力をもっているが
ゆえに、力をもたない人たちの声も聞く――という鷹揚さ、寛容さがあったのです。

今や、そんな政治家はめっきり少なくなった、と感じるのは私だけでしょうか。

(続く)