「感染が米国の世紀終わらせた」 対応、対照的な米中
2020年4月14日 5時00分 ワシントン=渡辺丘、園田耕司 北京=冨名腰隆

 コロナ危機のもと、トランプ政権は米国の利益だけを最優先に考える
「アメリカ・ファースト(米国第一)」路線をますます先鋭化させている。


異例の対策

 トランプ米大統領が新型コロナウイルスをめぐる対策で最も強調するのは、
1月末に中国からの入国制限に踏み切ったことだ。中国に対してのみならず、3月11日は
「私は米国人の健康を第一に考えている」と訴え、欧州の大半の国からの入国も制限。
21日はカナダ、メキシコとの国境を事実上、閉鎖した。

 米国政治に詳しいロス・ベイカー米ラトガース大教授は一連の入国制限の動きは
「米国第一と密接に関係する」と指摘する。「外国によって米国が汚される」という
危機意識のもと、国境防衛の強化に取り組むという考えという。

 これは歴代米政権の感染症対策と比べ、極めて異例だ。
G・W・ブッシュ政権は03年にエイズ対策で世界最大級の健康イニシアチブに乗り出した。
これまで米国は800億ドル(約8兆6千億円)を投じ、アフリカを中心に推計1300万人の
命を救ったとされる。オバマ政権は14年、西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱への
対応のため、国際会議を米国で開催。感染国支援のため、米軍部隊3千人を現地に派遣し、
国連安保理では感染国の孤立を防ぐため、加盟国に渡航者の入国制限の撤廃を求める
決議を主導した。

 米国で新型コロナの感染が確認されてからも、トランプ氏は国内向けには
「4月までに少し暖かくなればウイルスは奇跡的に消え去る」などと
楽観的な発言を繰り返していた。
背景には、秋の大統領選での再選に向けて経済活動を重視する方針があった。

 2月25日には、国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)の
ナンシー・メッソニエ所長が会見し、米国での新型コロナの感染拡大が
「起こるかどうかではなく、いつ起こり、この国で重症者が何人出るかの問題だ」と
対策を呼びかけた。複数の米メディアによると、インド訪問から帰国中の機内にいた
トランプ氏は、会見後に株式市場が値下がりするのを見て、
「不必要に怖がらせている」と激怒したという。