米軍側の「不起訴要求」に複数の証言 日米地位協定が司法にもたらす闇
https://mainichi.jp/articles/20200530/k00/00m/040/177000c

在日米軍のさまざまな問題を生む元凶ともいわれている日米地位協定は一度も改定されないまま、締結60年を迎えた。

中でも問題を指摘されているのが刑事手続きの領域だ。捜査や起訴といった司法の根幹に関わるところで、米軍に対する多くの特別待遇が存在している。

「公務証明書を出されると我々にはどうすることもできない」。かつて米軍関係者を起訴できなかった経験がある元検察官は苦い表情で捜査を振り返る。

日本の捜査当局による米軍捜査で、最初の大きな壁になるのが「公務中」であることだ。公務中の事件・事故は米国側に第1次裁判権があり、日本の刑事裁判にかけることは難しい。

東京都八王子市で2005年に車で小学生3人をはねて重軽傷を負わせ、救護せずに逃げた容疑に問われた米軍厚木基地の上等水兵も緊急逮捕後、公務中を理由に即日釈放された。

実刑が言い渡される可能性もあった事案だが、水兵は日本で起訴されず、米軍当局から減給などの懲戒処分を受けただけだった。

公務中に当たるかは1957年に群馬県で主婦が米兵に銃撃されて死亡したジラード事件などで日米双方の主張が対立したこともある。

また、飲酒運転を巡っては、公の会合における飲酒であれば公務中と認めうる内容で56年に合意していたことが発覚。

2011年に公務中と認めないように規定を変更している。

さらに、公務外で日本側に1次裁判権がある場合でも、米軍側が日本の捜査当局に不起訴を求めるケースがあることが分かった。