産経抄
2月20日


 何はともあれ、東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長は、橋本聖子前五輪相で決着した。
貧乏くじともされるかじ取りの難しい重職を引き受け、夏に向けて走り出す橋本氏には心から声援を送りたい。
ところが19日の新聞各紙朝刊を読むと、五輪開催に後ろ向きな見方も目立つ。

 ▼ただでさえコロナ禍が収束しないうえ、森喜朗前会長の女性をめぐる発言で日本のイメージが悪化し、機運がしぼんだというのだが、果たして本当か。橋本氏と森氏の政治的な近さすら問題視する論もあるが、ならば来年2月の北京冬季五輪など開催できる道理がない。

 ▼ポンペオ米前国務長官は、中国がウイグル人など少数民族の「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に関与していると非難し、開催地変更を求めている。
英BBC放送は、ウイグル人の再教育施設で、性的暴行や拷問を受けた女性らの証言を報じた。
女性が強制的に不妊手術を施されているとの話もある。

 ▼悲劇の当事者は、少数民族だけではない。
英紙タイムズによると、香港の宗主国だった英国が香港住民の移住支援策として始めた新たなビザ(査証)制度には、受け付け開始から約2週間で約5千人の申請があったという。
自由が厳しく制限された香港からの避難、脱出が進む。

 ▼なぜか日本の政界からは、北京五輪の開催地変更やボイコットの訴えはあまり聞こえてこない。
とはいえ、森氏発言とは比較することもできない重大な五輪憲章違反行為である。
きっとこれから、国会決議の一つや二つはやることだろう。
政府も組織委に介入し、参加自粛を呼びかけるに違いない。

 ▼まさか日本人が、たたきやすい相手はとことん打ちのめす一方、強い相手には黙り込むなんてことはないと信じたい。