産経妙 2月13日

 「男はとんかつだと思っている」。文芸評論家で慶大教授の福田和也さんは、週刊誌『サンデー毎日』の昨年12月6日号で説いていた。
若い頃から大のとんかつ好きである福田さんは、「とんかつの食べ方で男の度量が測れると信じている」のだそうである。
いわく言い難い説得力がある。

 ▼まさか「それでは女はとんかつではないのか」と怒りだす人はいないだろうが、性別・性差に触れることすら躊躇(ちゅうちょ)する世の中になってしまった。
うかうかと「女性はロースカツよりヒレカツを好みがちだ」などと口に出せば、偏見だの性差別だのと指弾されはしないかと不安になる。

 ▼東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長辞任に追い込まれた森喜朗元首相は、どんな発言で女性蔑視だと批判されているのか。
要は「女性は話が長い」と軽口をたたいたことである。
公人としては不適切でも、五輪憲章がうたう「人権」や「男女平等」に反するとまでいえようか。

 ▼森発言は看過できずとも、政府・与党やスポーツ界から森氏擁護の声が聞こえないのも無情に思える。
「肺癌(はいがん)の身で海外出張しIOC(国際オリンピック委員会)との関係を構築。(中略)今回、森氏の功績を語らない五輪関係者に絶句」。舛添要一元東京都知事のツイッター投稿が、物言えば唇寒しの不寛容な日本社会を表す。

 ▼6日の小欄でマスコミが一斉に森氏攻撃に熱狂するさまを「集団いじめ」と評したところ、「正当な批判をいじめと矮小(わいしょう)化するな」とお叱りを受けた。
だが、謝罪した相手を追い回し続けるのは趣味が悪かろう。

 ▼ましてや野党女性議員らが、米婦人参政権運動にちなみ白いジャケットを着てはしゃぐ姿は悪ノリであり、女性を色眼鏡で見る悪弊を助長しかねない。