産経抄 12月28日

 競馬の有馬記念が終わると、一年が終わったような気がするのは抄子だけではあるまい(結果は聞かないでほしい)。それにしても今年は喪中はがきを数多くいただいたような気がする。

 ▼コロナ禍によってどれほどの命が、志半ばでこの世を去らざるを得なかったことか。世界全体の感染者数は8000万人を超え、死者は約180万人を数える。しかも変異種が、不気味に拡散を始めた。

 ▼日本では3月、志村けんさんが亡くなり、一気に緊張感が走った。直後に緊急事態宣言が発令され、欧米や中国のような法的強制力がほとんどなかったにもかかわらず、国民のほとんどがマスクをつけ、黙々と自粛生活を送った。「志村効果」がいかに大きかったことか。

 ▼4月には外交評論家の岡本行夫さんが鬼籍に入った。歴史認識問題では、小紙と意見を異にしたが、元外交官という枠にとらわれない行動力には何度も驚かされた。東日本大震災では、津波で漁港が壊滅し、船も流されて茫然(ぼうぜん)自失になった漁民を助けるため冷凍コンテナを送り届け、亡くなるまで被災地との交流を続けた。

 ▼岡江久美子さん、高田賢三さんとコロナに倒れた有名人も多かった。とはいえ、日本でのコロナによる死者は、米国の100分の1にとどまっていることも事実だ。しかも統計がまとまっている1月から10月までの死亡者総数は、去年から1万人以上も減っている。

 ▼はっきりした理由はわからぬが、一人一人があまり出歩かず、衛生に気を配ってきたのも一因かもしれない。毎日のように「感染者数が過去最多を更新した」と報じておいてなんだが、数字に一喜一憂しない方がいい。ちなみにわが家にきた喪中はがきを数え直してみたら、去年の方が1枚多かった。