3月24日(水)朝日新聞東京版朝刊オピニオン面・多事奏論

編集委員 国分高史    緊急事態と自民党政治  鉄人宰相の戒め いまこそ

首都圏の1都3県に出されていた緊急事態宣言が、ひとまず解除された。

10年前の福島第一原発の事故や昨年来のコロナ禍で、私たちは政府が出す
「緊急事態宣言」のもとでの生活を経験してきた。新型コロナ対策の特措法に基づく
2度の宣言下では、一時はすべての国民が移動や営業の自由など、憲法が保障する
自由や権利を制限され、その不自由さや息苦しさを体感した。政府による自由の制約は、
もちろんウイルスから人の命を守るためだ。だが、同時に経済の停滞を招き、多くの
人々の暮らしを揺るがした。

政府による研究事態宣言の本質は何か。憲法学者の江藤祥平・上智大准教授は
「平時であれば違法とされる行為を、緊急性を理由に合法とすることです」と説明する。
いわば「必要性は法を破る」ことを政府に認めるものであり、政府の権力を縛る
「立憲主義」や「法の支配」とは厳しい緊張関係にあるのだという。

だからこそ、宣言するには厳しい条件をあらかじめ定め、それにかなっているかを
国会が厳しくチェックし、首相はその必要性を国民に説明して納得を得なければ
ならない。日本では、そのすべてのプロセスがなし崩し的だと江藤さんは見る。

(続く)