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(続き)

この間に取材してきた心ある政治家や官僚、学者の多くが指摘していたことがある。
民主主義を支えているのは、選挙で選ばれた議員だけではないということだ。

憲法や法、その行間にある法の精神や慣例、官僚や裁判官の専門知。権力者が力を
行使するには、これらの壁をひとつずつ乗り越えていかなけらばならない。そのうえで
すべての国民を代表する国会で説明を尽くし、賛同を得る。この過程を踏んでいく
ことによって、権力の行使に魂がこもる。国民に語る言葉に、説得力が生まれる。

哲人政治家と評された大平正芳元首相は、ことあるごとに若手議員に老子の言葉を
説いたという。「大国を治るは、小鮮を烹るがごとし」。小魚を煮る時に
つつき回しては、形が崩れてしまう。政治も同じで、丁寧に行うべしという意味だ。

25年前、駆け出しの政治記者にこの言葉を教えてくれたのは、大平を師と仰いだ
加藤紘一・元自民党幹事長だ。その加藤さんもすでに亡く、こんな戒めを政界で
耳にすることもまた、なくなった。

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筆者の担当は今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。

(終り)