6月17日

国連平和維持活動(PKO)協力法が、平成4年に成立してから今月で30年を迎えた。ただ自衛隊の海外派遣はその前年から始まっている。海上自衛隊による掃海艇のペルシャ湾への派遣である。湾岸戦争後の機雷除去に協力するためだった。

▼「海外派兵反対」の怒号の中を出航して、半年間の過酷な任務を果たした。当時の小紙に気になる記事が載っていた。広島県呉市で行われる帰国歓迎式で「軍艦マーチ」を演奏しないよう、首相官邸から指示があった、というのだ。式典に出席する海部俊樹首相の「軍事色」を薄めたい、との意向だったらしい。

▼この曲は海自の行事には欠かせないシンボル的な意味をもつ。涙を浮かべて抗議する隊員もいた。すったもんだの末に演奏されたが、当時の自衛隊の置かれた状況を象徴するエピソードである。

▼現在、自衛隊の支持率は9割近い。まさに隔世の感がある。参院選に向けて、自民党は自衛隊の憲法への明記を掲げる。公明党は「検討を進めていく」との表現を盛り込んだ。立憲民主党は、隊員の任務環境と処遇の改善を訴え「自衛隊員応援議連」を発足させた。自衛隊を違憲としてきた共産党まで、急迫不正の侵害の際は活用するとの見解を出して「ご都合主義」の批判を受けたばかりである。

▼ロシアによるウクライナ侵略が始まると、国民の間で国防への関心がますます高まっている。対国内総生産(GDP)比1%を上限としてきた従来の防衛費についても、増額に向けて議論が盛んになってきた。

▼もっともこの期に及んで、日本周辺の軍事的な危機に対して、防衛力の強化では解決できない、との主張がある。代わりに強化すべきだという「外交力」とは、一体なんのことやら。