7月22日

日本列島に猛暑が戻ってきた。欧州を襲っている熱波はもっとすさまじい。英国では、観測史上初めて40度を超える気温を記録した。スペインやポルトガルではここ数日の間に、高温が原因の死者が千人を超えた。

▼もっとも、欧州連合(EU)首脳の頭の中は、目の前の熱波より数カ月先の心配事でいっぱいらしい。実は今年の冬を無事に乗り切れるのか、欧州は瀬戸際に立っている。

▼EUは、天然ガスの輸入の4割をロシアに依存してきた。そのロシアはウクライナに侵攻して以来、EUへのガスの供給を少しずつ減らしている。EUが科した経済制裁への対抗措置である。EUはガスの供給がすべて止まる場合に備えて、対策を急いできた。

▼EUの執行機関、欧州委員会は20日、来年3月まで全加盟国にガス使用量の15%削減を求める緊急対策案を発表した。同時にアフリカや中東諸国との間で、輸入拡大に向けて協議を続けている。とはいえ、とても間に合いそうにない。

▼秋から冬にかけてシベリアに居座る高気圧は、日本海側に大雪を太平洋側に空っ風をもたらす。天気予報では、それを冬将軍と呼んできた。生みの親は、英国の風刺画家である。1812年の冬、ロシアに出兵したフランス軍は、厳寒と飢えに苦しみ退却を余儀なくされる。そのありさまを、ナポレオン1世が半人半獣の怪物に鼻をつままれ震えながら涙を流す絵で表現した。

▼冬将軍は、ロシアにとっては守り神といえる。ロシア軍はウクライナ各地で攻勢を強めているとはいえ、被害は甚大だ。経済制裁の打撃も小さくない。それでもプーチン大統領が強気でいられるのは、冬将軍の存在があるからか。思惑通りに怪物が暴れ回れば、日本も無傷ではいられない。