6月19日 産経抄
日本でもスパイ小説は人気がある。お薦めを聞くと冷戦期が舞台の『寒い国から帰ってきたスパイ』(ジョン・ル・カレ著)などのほか、『英国諜報員(ちょうほういん)アシェンデン』(サマセット・モーム著)を推す同僚がいた。
▼『月と六ペンス』などを残した英国の作家、モームは第一次大戦で諜報員として活動したことで知られる。その経験を踏まえた連作短編のスパイ小説だ。恥ずかしながら読んだことがなく書店で新潮文庫(金原瑞人訳)を見つけた。
▼主人公の作家アシェンデンが、諜報部の大佐からスカウトされる場面から始まり、モームならではの人間ドラマが描かれる。冒頭、主人公はさりげない口調で釘(くぎ)を刺される。「任務を立派に果たしても、だれからも感謝されることはないし、トラブルに巻き込まれても、だれも助けてくれない」
▼この容疑者はその〝鉄則〟を知っていただろうか。それとも日本では摘発されないと高をくくっていたか。先端技術の研究データを中国企業に漏洩(ろうえい)したとして国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(産総研)の上級主任研究員の中国籍の男が警視庁公安部に逮捕された。日本にスパイ行為自体を取り締まる法律はなく、「営業秘密」の漏洩にあたるとして不正競争防止法違反容疑が適用された。
▼「日本の国家予算で研究し、中国に還元していたのは大きな問題」との捜査関係者の指摘はもっともだ。国の研究機関から中国への情報流出が立件されるのは「極めて異例」というが「氷山の一角」だと認識したほうがいいだろう
▼日本は、情報漏洩を防ぐための法的枠組みが弱いと指摘されて久しい。危機意識の薄さにもつながっていないか。情報を守ることは、自らの信頼を守ることでもある。
産経抄ファンクラブ第298集
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134文責・名無しさん
2023/06/19(月) 08:11:56.62ID:jTEUjI7w0■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
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