8月6日(火)朝日新聞東京版朝刊オピニオン面・耕論「右傾化? 欧州はいま」より

中井遼さん 政治学者   国ごとの差異に目向けて 

欧州が「右傾化」しているといわれますが、私は違った見方をしています。

今年の欧州議会選挙で右派の議席が増えたのは事実です。ただ、増えたのは主に仏、独、オランダです。北欧では退潮気味で、
ハンガリーやポーランドなど東欧でも伸びていない。

かつての欧州では、右と左を分けるのは主に経済政策で、右派は自由市場重視で小さな政府、左派は再分配重視で大きな政府を
目指しました。今はその枠組みが崩れてしまっています。

左派は、環境問題や格差問題など政策や理念がわかりやすいのですが、右派はどこが「右」なのかが明確ではなくなっています。
右派を結びつけている論理は、自由、宗教、伝統といわれます。しかし、具体的な政策として何を重視するかは国によって違う。
左派は各国共通ですが、右派は一様ではないのです。

右派イコール反移民というわけでもありません。西欧の右派政党支持者には反移民の人が多いのは確かですが、反移民で左派に
投票する人もいる。欧州全体の移民に関する態度は、この20年ほとんど変わっていません。2015年の欧州難民危機の頃に
比べると、むしろ好転しています。

(続く)