7月19日(土)朝日新聞東京版朝刊オピニオン面・多事奏論

編集委員 高橋純子    躍るハイジョハイセキ  醜き花は 勝手に咲くのか

5年ほど前、フィンランドに住んでいた知人女性から、ビザの更新で役所を訪れた際の話を聞いた。

窓口の人 これからは社会保障の対象になって、子ども手当が出ます。
知人 え? そんなものもらちゃっていいんですか?(勝手に来て、2年しか滞在しない外国人なのに)
窓口の人 あ、あと、あなたシングルなんですね。ひとり親手当もつきますよ。いま申請しますよね?
知人 マジで?(日本では230万円の所得制限でもらえなかったよ!?)
窓口の人 もちろん。だって大変でしょ〜ひとり親は。

その時、知人の胸がリンドン鳴った。

私、この国に愛されてる――。

母国日本では肩身を狭く、心を固くして暮らしてきたという。「そんな私を大事に扱ってくれた北欧の国へのほのかな
忠誠心?みたいなものが芽生えた。この国の哲学、価値観を守りたい。そのために、外国人である自分もできる限りの
ことをしたいって思ったんです」

(続く)