>>236 (続き)

好きなことを生涯やろうと決心した。文学座や俳優座など新劇にあこがれた演劇青年。昭和30年代に関西芸術座へ入り、
関西ローカルの長寿ドラマ「部長刑事」で当たり役を得る。ひとを感動させる喜びを胸に役者の道を歩んできた。

後輩に誘われ4年前から、敬老の日に大阪での反戦朗読会に参加。読み伝えるのは、同世代の児童文学作家・
あまんきみこ作「ちいちゃんのかげおくり」。出征する父と生き別れ、母と兄を空襲で失いう少女の物語だ。
自身の体験を重ね、静かな語り口で観客の心を揺さぶる。

戦後80年の今回は、こんな自作の一節を読み添えた。〈海のむこうでは、いまでも爆撃が…。そして、ちいちゃんが
食べていたような乾パンすら食べられない子どもたちがたくさんいます。どうなっていくのでしょうか。心配です〉

戦火にまみれる世界を憂う。日本の「新しい戦前」など許さない。だから命のある限り、地道に平和の種をまく。

(終り)