>>556 (続き) (日本近代史研究者 荻野富士夫さん   スパイ防止法と「内なる敵」)

治安維持法の猛威 負のレッテル貼り 世間が担った排除

 ――「内なる敵」とみなされる対象が拡張していった背景には何があったのでしょうか。

「一つは組織の論理です。標的だった共産党を壊滅させたあと、特高警察などの治安部門は
予算と人員の維持を目指し、次の標的を探しました。目を付けたのが、それまでは合法だった
社会民主主義者であり、やがて自由主義者や民主主義者も狙われるようになりました」

「もう一つは、30年代に進んだ戦争への流れでした。政府は『敵』との戦いに国民を
動員していくにあたって、戦争反対の意見や厭戦的な気分を抱く人々を洗い出し、
排除していく必要があると考えたのです。当局は思想浄化と呼んでいました」

(続く)