2月18日(水)朝日新聞東京版夕刊文化面

千早茜(直木賞作家)   教室のすみっこ

選挙の度に感じていることだが、今年二月に行われた衆議院選挙は自分がマイノリティ側で
あることを特に意識させられた結果となった。マイノリティの意味をつい調べなおしてしまった
くらいだ。

しかし、考えてみれば選挙に限ったことではない。昔から自分は教室のすみっこにいる
人間だった。いや、保育園にいる頃から一人ぽつんと「どうして」と思っていた。
「どうして眠くもないのにお昼寝の時間は寝なくてはいけないの」に答えてくれる人はなく、
眠りたくない私は逃亡しては叱られ、時間を持て余していた。学校では「いま先生が言ったこと
なんかおかしくない?」と目を見交わす友人はいたが、私たちの声は小さかった。教室の男子に
「女のくせに」と言われるのも、揃いの制服を着なくてはいけないのも、どうしてなのか
わからず、納得のいく説明を得られたことはなく、息苦しかった記憶ばかりがある。

(続く)