8月11日

 秋田市内で完成すれば国内最大規模となる人工知能(AI)向けデータセンター(DC)の建設計画が進んでいる。秋田市と米国の2つのIT企業が主導しており、2030年代前半の稼働をめざしている。

▼建設費は約2兆円にのぼり、中東のアラブ首長国連邦(UAE)が投資に意欲を示している。DCで必要とされる膨大な電力は洋上風力発電をはじめとする、再生可能エネルギーでまかなわれる。秋田が日本におけるAIの最先端地域になるかもしれない。そんな朗報を届けるための記者会見がまったく別の事柄で話題になっている。

▼県庁で6日、企業誘致を担当する県の幹部職員が報道陣に対するオンライン会見に応じた。なんとバスローブ姿で画面に登場した。部下が説明している間、その口元からは白い煙が立ち上っていた。その後、堂々とたばこを吸っている姿も映っていた。

▼職員はどこにいたのか。県の説明によれば、職員は東京への出張を終えたばかりだった。6日午後は休暇を取り、自宅で取材に対応した。それが事実と受け取って映像を見直しても、まだ違和感が残る。

▼たばこと会見といえば、「最後の映画スター」といわれた勝新太郎さんを思い出す。亡くなる半年前の記者会見で「たばこはやめた」と言いながら、記者の前で一本くゆらせた。実は喫煙どころかしゃべるのも大変な病状だったそうだ。誰にも弱みを見せない、勝さんらしいパフォーマンスである。

▼秋田の会見については、勤務時間外の職員に対応を任せた県の不手際を指摘する声もある。いずれにせよ、AIとそれに欠かせないデータセンターに社会の関心が集まりオンラインでの取材が当たり前になった、令和ならではの珍事である。