8月3日

 パンダのしっぽの色は白か黒か。これが結構、難問なのである。メディアでつくられた先入観にどっぷり浸(つ)かったわが脳は、しっかり間違えてしまった。東京・渋谷のBEAMギャラリーで開かれている「記憶汚染展」(9月6日まで)は、我々の記憶と現実のあやふやさを教えてくれるちょっと怖い展覧会だ。

▼多くの人が事実とは異なる記憶を共有している現象をマンデラ効果という。現実のネルソン・マンデラは、27年の獄中生活を終え、南アフリカの大統領になるのだが、「マンデラは1980年代に獄中死した」と思い込んでいる人が世界中にかなりいるんだとか。

▼同志社国際高校の生徒らが亡くなった沖縄県辺野古沖の抗議船転覆事故でも、学校側に強烈な思い込みがあった。第三者委員会が公表した報告書によると、安全性に関する議論は学校内で一切、なされなかったという。

▼同志社と同じプロテスタントの牧師が操縦する船が転覆などするはずがない、という思い込みである。しかも事故2日後に、同校の校長先生が信じられない発言をしているのだ。

▼県庁に玉城デニー知事を訪ねた際、「今後も同様に訪問させていただき、研修を継続していきたい」と、教え子の葬儀も終わっていないのに来年の話をしている。同志社は、そんなにも冷たい学校だったのか。ご遺族が、やむにやまれぬ気持ちで、校長らを刑事告訴したのもよくわかる。

▼それはそうと、パンダのしっぽは何色かって? ちょっと前まで上野や白浜に大勢いたのに記憶が飛んでしまった。彼ら彼女らを日本から引き揚げさせた中国の習近平国家主席は、「(日本で)新型軍国主義が復活した」とご立腹である。この人もまた記憶が汚染されているようだ。